アウトサイダー
太陽とふたりで幸せを噛みしめ、家には待っている家族がいる。
そして、私たちを理解してくれる人に囲まれて、うれしい涙を流すことができて。
アウトサイダーとして過ごした日々は、もうすっかり影も薄くなって。
だけど、忘れないでおこう。
あの頃の苦しみや、絶望を。
だからこそ、今の私があり、光がいるのだから。
「もうひとつ付き合ってくれる?」
腕時計をちらっとみた彼は、今度は別のカフェに私を連れていく。
「もうお腹一杯だよ」
「あはは、わかってる」
そういいながら太陽の後に続くと……
「お久しぶりです」
太陽がそう挨拶を交わしたのは……
「彬、さん……」
「少し紗知をお願いできますか?」
「はい」
ふたりの会話に驚いて、慌てて太陽を見上げる。