アウトサイダー

ウエイトレスが行ってしまうと、私たちの間に沈黙が訪れる。
だって……あんな終わり方をした私たちが、どんな言葉を交わせばいいのかなんてわからないから。


「紗知、すまない」

「えっ……うん」


突然口を開いたのは彬さんだった。
テーブルに付きそうなほど深く頭を下げ、しばらく顔をあげない。


「俺さ、池森さんにずげー叱られた。俺の娘になにするんだって」


コウさん……。
コウさんの言葉に涙が出そうだ。

血が繋がらない私を、しかもあんなに大きくなってから娘になった私を、そう思ってくれることに。


「あんなことして、最低だった。本当にすまなかった。
謝って許されることじゃないってわかってる。
でも、謝るしか、俺には……」


一度顔をあげた彬さんが再び深く頭を下げる。

その姿は、出会った時のような穏やかさを取り戻しているようにすら見える。


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