アウトサイダー
そのまま彼と眠りにつく……フリをした。
彼の呼吸が一定になって眠りを確認した私は、暗闇に慣れた目で彼の顔を焼き付ける。
決行は、今晩。
それまでに部屋に戻らなくてはならない。
静かに流れていく涙が、ポタポタと頬を伝って床に落ちていく。
本当に、これが最後なの?
暫く、そこを動くことができなかった。
父に殴られるより、辛い。
殴られてでもいいから、ずっとここにいたい。
そんな気持ちすら残る。
だけど、母はそういうわけにはいかない。
ずっと耐えてきたんだ。
幸せになってほしい。
だから、こうするしか、ない。
彼の唇にもう一度キスをして、私はその部屋を出た。