アウトサイダー

県立の高校に進学が決まった。


桜吹雪の下で空を見上げたとき、思い出したのはやっぱり太陽。
本物の太陽のように、私を照らしていてくれた彼。

そんな彼も私と同じように、自分の名前がいやだと言っていた。

ちっとも温かくなんてない。
明るくなんてないって。

だけど、ぴったりだと私はずっと思っていたよ。


中学に入ったとき、母の代わりにずっと私のそばにいてくれたね。
不安だらけだった私の、救世主だった。


彼は……どうしているんだろう。
今頃受験に向けて、猛勉強を……。


気がつけば、彼のことを考えない日はなかった。


新しい教科書を見ては、太陽がいれば教えてもらえるのにと思ったし、私の境遇を知らない子たちが話しかけてくれば、友達ができるかもなんて太陽に届かぬ報告もした。


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