アウトサイダー
父は仕事での鬱憤を母ではらした。
父は誰もが知っているような大手企業で働いていた。
大きなマイホームだってあった。
だけど中間管理職になってから、お酒を飲んでは、震える母に手を振り上げ、家にはいつも母の悲しい叫び声と泣き声が響いていた。
そしてそれをどうすることもできない私は、自分の部屋で膝を抱えて耳を塞いでいることしかできなかった。
けれど、父は酔いがさめると、母にひたすら謝まるんだ。
「どうかしていた。許してほしい。ふたりのために頑張っているんだ」と。
そして、そんな父を母は許し続けた。