アウトサイダー
視線の先にあの古ぼけたアパートが入ってきたとき、心臓がドクッと大きく打った。
裏手に回って、かつて住んでいた部屋を見上げると、洗濯物が干されていた。
もう、別の人が住んでいるんだ。
と同時に、それを見て唖然とした。
その隣の部屋――つまり、太陽の住んでいた部屋は、カーテンが取り外されている。
あの、薄いブルーのカーテンが。
体がブルブル震えだす。
そんな……まさか。
思わず走り出した私は、1階の集合ポストに駆け寄って、それを確かめた。
ない……。
そこにあったはずの、「篠川」と書かれた表札が。