アウトサイダー
新しい生活
丁度その頃、母には好きな男の人ができたようだった。
父と母の離婚も、父が再び私に手を挙げたあの騒動で進んだ。
弁護士を通じて、「これ以上付きまとうなら刑事事件になります。そうすると、職も失うでしょう」と伝えてもらって。
ほとんど脅しのような形だったけれど、もう仕方がなかった。
結局、仕事が大切だった父はその要求にしぶしぶ頷き、なんとか成立したのだ。
母には今度こそ幸せになってほしい。
私のことばかり気にかけて生きてきた母には、自分の幸せもつかんでほしかった。
だけど、本当の事を言えば、太陽を失った私は母の相手の事なんて少しも興味がなくて。
ただ、母が幸せならそれでいいと思っていた。