アウトサイダー
母の幸せが、私にとっても一つの大きな願いだったのは、嘘ではない。
きっと私の為に、殴られ続けても長い間ひたすら耐えて生きてきた母。
なんの恩返しもできないけれど、もうこれ以上足かせにはなりたくはない。
「ごめんなさい。そうじゃないの。
池森さんはとってもいい人よね。私のこともかわいがってくれるし。
お母さんが幸せなら、私は大賛成。
ちょっと恥ずかしかったの。ごめんなさい」
そんな風に言ってみせると、母は安堵した。
「紗知、あなたにはずいぶんつらい思いをさせた。お母さんのせいよ。
だけど池森さんは、紗知のことも考えてくれてるの」
「わかってる」