side me
S
好きになってしまいました。
大事な大事な友達を。
言えない恋です。
叶わない恋です。
短く脆い恋です。
それでも いいんです。
「ねぇみのりー、ほんとに好きな人とかいたことないわけ?」
「なくはないけど...特別好きって感じじゃないかなぁ...」
てか、好きな人いたところでどうって感じじゃないし。
「まぁ、今はいらないしなぁ...」
そう言うと鳴海はため息をついた。
「だからダメなんだよーみのりはっ!!ウチら今女子高生なんだよ??今恋しとかなきゃ!!」
女子高生だからって恋愛必修じゃあないだろ。
鳴海はマセすぎなんだよ。ってか自分だって彼氏いないくせに。
「あ、そういえばみのり今日一緒に帰れる?」
「今日は無理!!アイツが寄りたいとこあるって言ってるからさ~。」
鳴海はわかったと返事をし、教室へと入っていった。
「真治ー、いるー?」
教室に入りながら声をかけるがヤツはいなかった。
「真治ならまだ朝練だってさ。」
おせっかい野郎の春樹が口を挟む。
「まだ朝練やってんの??きっつー。」
仕方がないからヤツの朝練が終わるまで友達とだべることにした。
「あっ、みのりおはよーッス!」
「おー有紗おはよー!昨日買ったCDヤバかったんだけど!!」
有紗に駆け寄ってしばらく廊下ではしゃぎまくる。
彼が通るまでは。
「あっ、きたきた孝義。」
いち早く孝義が来たのに反応する有紗。
それもそのはず、有紗は孝義が大好きだから。
「おはよー孝義くん!」
すっかり話をすっぽかして孝義に声をかける。
これだから恋してる乙女って。
「おー。うぃーっす。」
孝義はノリが良くて少年っぽい奴。
明るい性格のおかげか、女子からも男子からも信頼されている。
有紗も孝義の明るくて人気があるところに惚れたらしい。
まぁ、ミーハーの有紗ならありそうな話だけど。
こういう、“好きで好きでやばい!”みたいな奴が若干苦手。
なんだか哀れだ。
しかももっと残念なのが、孝義には彼女はいなくても、誰とも付き合う気もないってこと。
どれだけ有紗がアプローチしたとしても
孝義には届いてないらしい。
それでもアプローチを増して続ける有紗は
クラスでだんだん引かれはじめている。
今も声をかけるなり孝義の後をくっついて教室に入ってしまった。
完全ウチのこと忘れてるし。
呆れて自分も教室に入ろうとしたとき、やっと朝練を終えた真治が走ってきた。