TABOO Ⅱ~甘い唇~
カウンターに戻ると、バイト仲間でありクラスメートでもある女が駆け寄って来た。
「ねえ、矢吹先生来てるってホント!?」
「さあな」
「次はあたしが持ってく」
惚けたにも関わらず、小さな鏡に向かって前髪を整えてる女に言う。
「バイト禁止なんだから大人しくしてろよ」
「なんでよ、自分だって」
「オレは取引したから」
「なにそれ」
“オレ達のことは内緒な”
そう言って爽やかに笑う数学教師の後ろで、彼女はずっと俯いていた。