光の花は風に吹かれて
「口出しはしないと言ったが……」

レオが紅茶に口をつけ、カップをソーサーに戻してからふぅっと息を吐く。

心底困ったような様子はきっと――

「お前らのせいでルカの機嫌が悪い。これ以上、城を壊されるのは困る」
「……申し訳ありません」

これは、セストが謝るべきことなのか少々疑問ではあるが、一応謝罪の言葉を述べる。

ルカの機嫌が悪い理由の半分は、ローズとセストのせい――いや、セストのせいだと思うから。

あの日、中庭でローズに記憶修正を施してからだ。しばらくルカの風はセストを見つけると泣き喚いて止めるのに苦労するほどだったし、ローズはあれから2日ほど部屋に籠もっていたようだった。

今は、ローズはこれまで通りの生活を送っている。少なくとも、そう振舞う努力をしているようだ。

そんな彼女を避けているのはセストの方。

セストの部屋の前で待っているローズに会わないように自室で寝ることを止め、食事もローズの立ち入れない執務室や研究室でするようになった。

廊下ですれ違うとき、ローズはセストに話しかけようとするけれど、視線を合わせられないのはやはり“後悔”と名のつく感情なのだろう。

そんなことを続けてもう2週間ほどが経っただろうか――
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