光の花は風に吹かれて
「何を悩んでいる?」

レオの漆黒の瞳が真っ直ぐにセストを射抜く。質問をしながらも、レオにはその答えがきっとわかっている。

セストが答えずにいると、レオは紅茶を飲み干してから言った。

「ローズの気持ちが偽物か本物か、そんな簡単なことは一緒にいたお前が1番わかっているだろ」
「えぇ。ですから――」
「『ですから』?言い訳をする時点でお前は間違っている」

レオに遮られ、セストは黙り込む。

「ローズがこの城に来て過ごした時間は何だ?お前の前で笑う理由は?お前に思い出したくもないような過去を語った理由は?」

矢継ぎ早に問いかけられて、セストは思わず視線を逸らす。

それが……己の気持ち、答え。

「偽りだとは言わせない。城にいる者全員が証人だ」

レオはそう言って立ち上がり、セストの机から書類の束をすべて手に取った。

「っ、レオ様!」
「うるさい。お前に任せていたらいつ終わるかもわからない。大体、そんなふらつく状態で仕事をされても信用できない」

鋭く睨まれて、セストは浮かせた腰をソファに戻した。

「3日だ」

レオは扉の前で1度足を止め、セストを振り返った。

「3日ですべて解決しろ」

そう言い残し、レオは執務室を出て行った。
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