光の花は風に吹かれて
――カチャ、と。

微かな物音に目を開けると、そこはセストの自室だった。

「あっ……ごめんなさい。起こしてしまいましたね」

ベッドのすぐそばにテーブルを用意してハーブティを淹れていたローズが、身体を起こしたセストに気づいて近寄ってくる。

そっと頬に手を当てられて、ピクリと身体が跳ねた。

「よかった。顔色は少し良くなったみたいです」

ニッコリ笑って、ローズはテーブルに戻りお湯をポットに注いだ。

セストは額に手を当ててため息をついた。

クラドールが倒れる――1番やってはいけない失態を犯した。それも、原因が寝不足だなんて笑えない。

「イヴァンさんが寝不足だと診断されたので、よく眠れるようにカモミールティーを用意してもらいました。どうぞ?」

ローズはセストにカップを手渡して、ベッド脇の椅子に座った。

「今日はお休みなのだと伺いましたから、それを飲んでもう少し眠られたらいかがですか?」

セストは揺れるカモミールティーの表面をしばらく眺めてから、それをゆっくりと飲んだ。

温かい。
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