光の花は風に吹かれて
「私は、貴女を泣かせてばかりの男ですよ?」

セストがそう言うと、ローズはふふっと笑った。

「そうかもしれません。でも、嫌な気持ちにはならないのです……セスト様は、私を泣かせた後いつも優しく包んでくれるから」

適わない。

真っ直ぐ向けてくる瞳に、セストはいつのまにか……落ちていた。

「……すみません。リア様にも、レオ様にも、今を見ろと怒られたのに。貴女にはもう嫌われたのだと思うことで自分の気持ちから目を逸らしていました」

セストの言葉を聞いて、ローズはハッと息を漏らした。

「それ、って――」
「貴女のことが好きです」

レオとリアの絆と比べたらきっと、まだ小さく花開き始めたばかりの気持ちなのかもしれないけれど。

なぜか確信めいたものを感じる。

セストはローズに溺れていく――と。
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