光の花は風に吹かれて
１日の執務を終えて、セストが自室へ入る。明かりも点いておらず、やけに静かな空間にセストは眉を顰めた。

いつもなら、セストの仕事終わりを待っているローズが「お疲れ様です」と笑顔で迎えてくれるのに……

視線の先、窓際に佇んだローズはセストが戻ったことに気づいていないようで、ぼんやりと外を見つめている。

「ローズ」

少し大きな声で呼びかけると、ローズの肩がビクッとして彼女が振り返る。

「あ……ごめんなさい。ぼんやりしてしまって……今、お茶を」

ティーセットが収納されている棚へと向かおうとするローズの手を掴み、セストはローズを見下ろした。

少し困惑したような表情を浮かべてセストを見上げるローズ。

セストはその頬をそっと撫でた。

「昼間のことを、気にしていらっしゃるのですか？」
「あの、そのことですけれど……」

なんだか歯切れの悪い返事に、セストは少し焦っている自分に気づく。
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