光の花は風に吹かれて
あぁ、悔しいけれど、レオの気持ちがわかる気がする。

セストはそんなことを考えて、フッと笑ってローズの左手を取り、その薬指にキスをした。

「私と、結婚してくださいますか?」
「……は、い」

小さく、しかしセストにはしっかりと聴こえる声で答えてくれたローズの頬には涙が伝っていた。

それを唇で掬って、ローズの唇へと辿り着く。

今までで1番甘い気がするキス。

「もう……起きなくてはいけませんね」

唇を離して呟くと、ローズはふふっと笑った。

「今日は議会があるのでしたね」
「えぇ、昨日エミリー様と話し合った条約改正について検討する予定です」

セストはベッドから降りて服を羽織る。そのままシャワー室へと向かおうとして、ふと……昨夜のことを思い出してローズを振り返った。

ローズは上半身を起こし、シーツで素肌を隠しつつ首を傾げた。

「昨夜、ですが……新しくお教えしなければならないことができました」
「……?」

“昨夜”という言葉に少し頬を染めたが、思い当たることなどないであろうローズはハテナマークを頭上に浮かべているように見える。
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