光の花は風に吹かれて
セストがクラドールとしての仕事をしに来る前から報告書の作成を行っていたリアは、セストが彼女の隣の自分の席に座ってからずっとこの調子なのだ。

「…………」
「あの…………」

セストは耐えかねて声を掛けた。翡翠色の瞳にじっと見つめられて、こんなところを主であるヴィエント国王――レオ――に見られたら面倒なことになりそうだと考える。

「…………」
『んぅー』

だが、返事はない。

「…………あの……リア様?」

ルカが唸っているのもそうだけれど、リアも声には出さないが何か真剣に考え込んでいるようだ。

親子揃って何だというのだ。

「やっぱり、セストさんだと思うの」
『とー!』
「は?」

過程の省かれた結論に、セストは呆けた声を出してしまった。そんな彼とは対照的に、リアは頷きながら「絶対そうだよね」などと1人――いや、2人だろうか――納得している。

「ね、ルカ?」
『う、うー!きゃははっ』
「あの、リア様?一体、何のお話をされているのでしょうか?」

セストが問うと、リアはニッコリと笑った。

「セストさんを探している人がいるの!」
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