光の花は風に吹かれて
「ローズさんは夢がどうのって――」
『むぅー』

リアはじっとセストを見つめた。その翡翠色の瞳は少し怒っているようにも見える。ルカが唸っているからおそらく間違いないだろう……

リアもバカではない。いや、どちらかといえば察しのいい方だ。

「そろそろ、レオ様がお帰りになる頃ですね」

セストはフイッと目を逸らして立ち上がった。ローズの相手をする方が良いとの判断を下して。

「セストさん!」
『とぉー!』

扉へ向かおうとするセストにくるくると巻きつくように吹くルカ。セストを引き止めようとしているらしい。

「ル、ルカ様っ、おやめください」
「こら、ルカ。そんなに怒るな」
『ぱー』

その声に振り向くと、レオが研究室の扉を開けて立っていた。ルカはセストから離れ、レオに近寄っていく。

「セスト様!」

その後ろからローズがこっそりと顔を出して中を覗いていて、セストと目が合うとニッコリと笑った。

「リアも、そう怒るな。ちゃんと自分の蒔いた種は収穫させる」

そう言ってセストに視線を投げかけてくるレオ。セストは諦めて研究室の外に出た。ローズと食事をするために。
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