光の花は風に吹かれて
Act.2:芽が出たんじゃないか?
――セストがそっと長い黒髪をよけ、指の背で頬をなぞると彼女の身体はピクリと跳ねた。
「こんなにも綺麗に咲いていらっしゃるのに。可哀相に……花を見る目がない方のもとへ、嫁がれたのですね」
そう言うと、彼女は寂しそうに笑って。
「貴方のような方のもとへ……嫁ぐことが出来たら幸せだったでしょうね」
「……さぁ、どうでしょうか」
柔らかく微笑んで、ゆっくりと距離を縮めて……唇を重ねた。ふわりと香るのは、その名にふさわしいバラのような上品な香りだった。
ローズの身体から力が抜けると、セストは彼女の身体を庭の木に寄りかからせる。
「綺麗なバラを手折るのは、少しばかり躊躇われますが……」
これも主であるレオとその婚約者リアのため。
手を取り、人差し指に小さなカマイタチで切り傷を作る。ぷっくりと滲む血を小瓶へ垂らし、蓋をした。それから額に手を当てて、彼女の気――光属性のチャクラ――も別の小瓶へと封じた。
人差し指にトラッタメントを施してから、記憶操作も慎重に。
鍛錬は順調だったし、セストも自分の技術にはそれなりに自信があった。そうでなければ“お試し”としても使うことはしない。
「よい夢を――…」
セストはしっかりと閉じられた瞼へとキスを落としてからその場を後にした――
「こんなにも綺麗に咲いていらっしゃるのに。可哀相に……花を見る目がない方のもとへ、嫁がれたのですね」
そう言うと、彼女は寂しそうに笑って。
「貴方のような方のもとへ……嫁ぐことが出来たら幸せだったでしょうね」
「……さぁ、どうでしょうか」
柔らかく微笑んで、ゆっくりと距離を縮めて……唇を重ねた。ふわりと香るのは、その名にふさわしいバラのような上品な香りだった。
ローズの身体から力が抜けると、セストは彼女の身体を庭の木に寄りかからせる。
「綺麗なバラを手折るのは、少しばかり躊躇われますが……」
これも主であるレオとその婚約者リアのため。
手を取り、人差し指に小さなカマイタチで切り傷を作る。ぷっくりと滲む血を小瓶へ垂らし、蓋をした。それから額に手を当てて、彼女の気――光属性のチャクラ――も別の小瓶へと封じた。
人差し指にトラッタメントを施してから、記憶操作も慎重に。
鍛錬は順調だったし、セストも自分の技術にはそれなりに自信があった。そうでなければ“お試し”としても使うことはしない。
「よい夢を――…」
セストはしっかりと閉じられた瞼へとキスを落としてからその場を後にした――