光の花は風に吹かれて
「セスト様もお忙しいのですか?今日はお客様がいらっしゃるのですか?」

握っていたフォークとナイフをテーブルに置いたローズは肩を落とした。

「まぁ……今日は交流会ですから」

交流会――半年に1回行われるヴィエント王国内の貴族の集まりは、情報交換やそれぞれの地域を治める貴族たちの様子を知るための催しである。

とは言っても、所詮は貴族たちの暇つぶしパーティ。“務め”として参加は義務付けられているが、招待される側は城へ足を運び豪華な食事を楽しめば良い。

しかし、招待する側はそれなりに大変なのだ。通常業務に加えてその準備の指揮をするのはかなり骨の折れる仕事である。

解決済みとは言え前回の失態もあって、今回の警備や会場の安全は更に慎重に行わなければならないだろう。

会場の安全については……ルカのご機嫌を損ねなければ問題ないはずだが、実はそれが1番の難関ではないかとセストは案じている。

最近、ルカはリアのお腹の中が窮屈なのか愚図ることが多い。あの穏やかなリアがルカのわがままにうんざりした様子を見せることもあるくらいだ。

「まぁ!噂には聞いていましたけれど、私が参加できる日が来るなんて思っていませんでした」
「……は?」

ぼんやりとルカを宥める方法を考えていたセストは更なる“問題”に呆けた声を出した。
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