光の花は風に吹かれて
セストが指揮を執るとは言っても、最終確認などはレオ自らやっていた。

公務として呼び出しではあるが、送るのは招待状。交流会は多かれ少なかれパーティとして認識されている。つまり、ヴィエント王家が主催ということ。不備があっては、王家の面目がない。

しかし、今回はリアとルカのことがあるためすべてをセストに任せるということらしい。

信頼されているのは側近として名誉なことなのだろうけれど、レオの場合は……どうもセストに面倒ごとを押し付けている気がする。

それはセストの思い込みだろうか……

「レオ様、エミリー様がいらっしゃるのなら、尚更ローズ様を参加させるわけにはいきません」

エミリー女王は曲がったことが許せない性質のようで、即位してすぐにルミエール王国の政治改革を進め始めた。

前国王と“繋がって”いた貴族は否応なしに切り捨てられ、中央の顔ぶれはガラリと変わったし、軍部もかなり編成を変えているようだ。

そんな彼女がローズの顔を見たらどんなことになるか……火を見るより明らかである。

「なぜですか?私はエミリーに会いたいです」

全くわからないという顔で首を傾げるローズに、セストは胃が痛むのを感じた。

「……だそうだ。後はいつも通りにやれ。俺はルカの相手に忙しい」

更にセストの胃を刺激するのはもちろんレオで。

「レオ様!」

抗議をしようと立ち上がったとき、くるりと背を向けたレオが笑いを耐えていたのをセストは見逃さなかった。

だが、セストがそれ以上言うより早くレオは手をあげて「頼んだぞ」と言い、食堂を出て行ってしまった。
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