光の花は風に吹かれて
「本当ですか?良かった……ルミエールのドレスとは違うから、少し変な感じがします」

はにかんで笑うローズはとても綺麗に見える。ドレスが彼女のシルエットを綺麗に彩っているからだろうか。

「よくお似合いです。その色も」

ローズが地味だと心配するのも無理はない。ルミエール王国のパーティに今彼女が着ているようなシンプルなドレスを着ていたら、笑われる。

ルミエールのドレスはどれもこれも装飾が必要以上についているイメージで、かなりボリュームがある。

“派手さ”がステータスのような……セストにしてみればおかしな風習、とでも言おうか。

後宮でもパーティに参加するときほどではないものの、かなり凝ったデザインのドレスを着ていたローズ。

だが、元々顔立ちがハッキリしていて整っているローズにはシンプルなドレスの方が、彼女自身の魅力を引き立てるように思えた。

いつもと違う、着飾った女性を見てドキリとするなんて月並みだけれど――…

「セスト様?」
「っ……いえ、何も。ローズ様も中へどうぞ」

セストは頭の隅を掠めた思考を誤魔化すようにローズから視線を逸らし、会場へと促した。
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