光の花は風に吹かれて
そう……ローズは泣いていた。

セストが見る、3度目の涙。暗闇でもわかるほど目を腫らして、抱き締めれば肩が震えて……今までで1番痛々しい姿に見えた。

「……さ、何で交流会に来たんだろうな?やっぱ再婚相手探しか?」
「俺、立候補しようかな」

あぁ、やはり……本人が聞いて気持ちのいい話ではない。

「本気かよ?見たところ、スタイルも平均的だし。ルミエールの王女は派手でわがままだって言うぜ?俺はもっと奥ゆかしくて初心な感じが好きだからなぁ」
「お前、それしか考えてないのかよ」
「男なんてそんなもんだろ?まぁでも、ハーフの子供には興味あるな」

ピクリ、とセストの腕の中でローズの身体が跳ねた。

「でも、離縁の原因って子供ができなかったからって噂だぞ?」
「へぇ。それって男の方じゃなくて?」

ギュッと……ローズがセストの背中に腕を回し、しがみつくようにしながら一層身体を震わせた。また新しい涙が零れているのだろう。

「愛人にはできたって話だから、ローズ様の方だな」
「なんだよ。利用価値なし、ってか」

その瞬間、ローズの膝がガクンと崩れ落ち、セストは慌てて彼女を支え直した。

「っ、ぅっ――」

声も抑えられないほどに泣き始めたローズを見て、セストは彼女を抱きかかえて奥のベンチへと運ぶ。
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