光の花は風に吹かれて
「大丈夫ですか?」

そう言ったものの、大丈夫ではないのは明らかで……セストはそんなことにも気が回らなくなった自分にため息をつく。

「っ、ごめ、なさ……」

それを、ローズに向けたものだと思ったのか、彼女は流れる涙を拭いながらセストに謝ってくる。

「謝るのは貴女ではなくて……」

同じようなやり取りを、先日もした気がする。セストはフッと息を吐いてローズの手を取り、ポケットからハンカチを取り出して、涙を拭く。それから自分の羽織っていた上着を脱いでローズの肩にかけてやった。

今朝強く吹いていた風は静かになったけれど、今は冬だ。本来、こんなドレス姿で外に出るような季節ではない。

「あの者たちには、後で厳重に――」
「いいのです。すべて、本当のことですから」

セストの言葉を遮って、ローズが首を振る。
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