光の花は風に吹かれて

「夢の中で……私はセスト様の前で泣いてばかりで。だから、現実では笑っていようって思っていたのに、うまくいきませんね。この前も、今日も……」

ローズの声はだんだんと震えていって、その涙はセストのシャツを濡らしていった。

「また、おかしなことを言っていると思うでしょう？」

……そんなこと、思わない。思えるはずがない。

夢と現実の狭間に彼女を放り込んだのは、他でもない、セストなのだから。

彼女をそこから引き上げる術を持つのは自分なのに、泣き止まない彼女を見て「今はそのときではない」とどこかで言い訳しているセストは、ずるい。

「ごめんなさ……っ、でも、もう少しだけ……こうしていて下さい。お願い――っ」

身体を震わせて泣き続けるローズを突き放すことはできなくて。

セストは彼女の背中に手を回し、そっと撫でた。すると、ローズは声を抑えることなく子供のように泣き出す。

星空の下で涙を流すローズと彼女をあやすように抱き締めるセスト。

遠くから聞こえる交流会の喧騒を運ぶように冷たい風がさぁっと吹いて、セストはその風からローズを守るように遠慮がちに回していた腕に力を込めた――…