光の花は風に吹かれて
話題が健康診断のことに移ったことで、セストは先ほどのカルテを思い出した。
聞くなら、きっと今がそのときだろう。
セストは空になったスープ皿をスプーンと一緒に除けてから視線を上げた。
「ローズ様は初めての健診でしたが、困ったことはありませんでしたか?健診結果はどこも異常がなかったようですが」
「えぇ、クラドールの方もとても良くしてくださいました」
暗に交流会のことを聞いたつもりではあったが……もう少しダイレクトに聞かないとローズには伝わらないらしい。
「なぜ――」
「少し体温が高めでしたけれど、季節の変わり目だからよくあることだそうです。気をつけるように言われました」
少し……声が大きかったのは、気のせいだろうか。
「はぁ、あの――」
「向かい合っただけなのに、セスト様もわかるのですか?ふふっ、当然ですね。セスト様は王家専属のクラドールですもの。大丈夫ですよ。心配しないでくださいね」
ニッコリと笑みを向けられてセストは黙り込んだ。
伝わらなかったわけではないのだと、気づいたから。
“聞かないでほしい”と、その表情がローズの心を映していたから。
聞くなら、きっと今がそのときだろう。
セストは空になったスープ皿をスプーンと一緒に除けてから視線を上げた。
「ローズ様は初めての健診でしたが、困ったことはありませんでしたか?健診結果はどこも異常がなかったようですが」
「えぇ、クラドールの方もとても良くしてくださいました」
暗に交流会のことを聞いたつもりではあったが……もう少しダイレクトに聞かないとローズには伝わらないらしい。
「なぜ――」
「少し体温が高めでしたけれど、季節の変わり目だからよくあることだそうです。気をつけるように言われました」
少し……声が大きかったのは、気のせいだろうか。
「はぁ、あの――」
「向かい合っただけなのに、セスト様もわかるのですか?ふふっ、当然ですね。セスト様は王家専属のクラドールですもの。大丈夫ですよ。心配しないでくださいね」
ニッコリと笑みを向けられてセストは黙り込んだ。
伝わらなかったわけではないのだと、気づいたから。
“聞かないでほしい”と、その表情がローズの心を映していたから。