光の花は風に吹かれて
ローズの残した食事を片付けてから、セストは研究室へと戻った。

そこではまだリアが何か調べているのか、真剣に本を読んでいた。セストが戻ってきたことにも気づいているのかよくわからない。

セストは自分の机ではなく、ソファに身体を沈めて天井を仰いだ。

(闇人……)

ローズの父親で前国王のダミアンは闇属性の長の能力を受け継ぐ可能性を秘めた子供だった彼女を可愛がった。

つまり、“利用価値”があったということ。

そう考えるとエミリーやローズの言動にも納得がいく。

だが、劣性遺伝子である闇属性が表に出てこないことは光属性の人間が1番よく知っているはずだ。ローズの母親ならともかく、一体何に“利用”しようとしたというのだろう。

政略結婚の目的が“子を生すこと”だとしたら、ますます変だ。

(王家の血と闇属性……でも、ローズ様の子ならば闇属性は理論的に4分の1)

闇属性の力がどんどん薄まっていくのは誰の目にも明らか。

ハーフのローズでさえ健康な状態ではチャクラすら光属性に取り込まれてしまうのに、その身体に受け継ぐチャクラの量自体が減っていく中で、闇属性の力を保持することは不可能だ。
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