光の花は風に吹かれて
ローズは闇属性と光属性のハーフで王家の血を継ぐ人間。子を産むことに利用価値を見出されて議長の息子に嫁がされたが、3年で破綻。

その原因は子が出来なかったから――

セストは右手で顔を覆う。

(何か……)

決定的に欠けているものがある。それがわからない限り、パズルは完成しない。

しかし、本人は話したくないようだし、セストに首を突っ込む権利はないのだと思う。

いや……

「なぜ……」

セストは思わず呟いた。

なぜ、自分は“知りたい”――首を突っ込みたい――のだろう?

ローズをヴィエント王国へ引き寄せてしまったから?

違う。

彼女をルミエール王国へ帰すことが、セストの“収穫”で。これ以上、ローズに関わるのはナンセンスのはず……

「ねぇ、セストさん」
「はい?」

急にリアに声を掛けられて、セストはソファに座り直した。リアの方を見ると、クスクスと笑っている彼女と目が合う。
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