光の花は風に吹かれて
「理由を聞かれるとうまく答えられませんけど……」

リアは頬を染めて笑う。

「やっぱり1番は、レオが好きで一緒にいたいって思ったから……かな」

愛する人を想うとこんなに美しく輝けるものなのだろうか。

「私たちは小さい頃から一緒にいて、なんだかそれが当たり前で。最初は“好き”って気持ちもよくわからなくてレオを困らせたこともあるんです」

リアはそう言って心臓の辺りに両手を置いた。そこにはヴィエント王家の紋章が刻まれている。

ヴィエント王国では婚約するときに永遠の誓いを交わして、王妃となる女性の心臓にその証を与えると聞いたことがある。

先日の交流会で胸元が開いたドレスを着ていたリアにも、もちろんレオとの誓いが白い肌にしっかりとあった。

「レオもきっと不安だったと思います。恥ずかしくて、“好き”って伝えたこともあまりなかったから。でも、今は言うようにしていて……レオも言葉や態度でちゃんと伝えてくれます」

リアはまた少し声を出して笑って、ローズと視線を合わせた。

「ローズさんも、セストさんと一緒にいたくてここに来たんでしょう?」
「それは……はい。でも……」

リアとは違って、ローズは夢の中のセストに一方的に想いを寄せて、現実の彼にそれを押し付けている状態だ。
< 83 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop