光の花は風に吹かれて
セストの表情は少し硬い。
ルカの風が戻ってきてようやく、ローズがルカを抱いてから彼の風が吹かなくなっていたことに気づいた。セストを呼びに行っていたのだ。おそらく、リアに頼まれて。
セストはどこからローズの話を聞いていたのだろう。
「セストさんに話したいことがあるんでしょう?聞いてもらいたいと思っているんでしょう?」
「そ、れは……」
戸惑いを隠せなくて、笑顔も作れそうにない。
「あのね、ローズさん。ヴィエント城での生活は夢じゃないってこと、覚えていて下さいね?大切なのは“今”だってこと。今のローズさんの気持ちは夢じゃないから」
夢と現実――セストに求める理想(ユメ)を体現してくれるセストに、境界線がブレているローズの心を見透かすような言葉。
「それに、私もレオにはわがままを言うんです。レオは私のことを甘やかしてくれるから、私はわがままになるんです。ローズさんと同じだから、です」
リアはふふっと笑って、それからセストへと向き直る。
「セストさんも……私がこの前言ったこと、覚えてくれてるよね?」
セストは微かに視線を泳がせて、フッと息を吐いた。
「はい」
「うん。それじゃあ、研究室のお仕事は私がやるから。ちゃんと“今”向き合って」
『ゆ、とー!』
くるくるとローズとセストの間を吹いて、ルカの風は城へと戻っていくリアの後を追いかけていった。
ルカの風が戻ってきてようやく、ローズがルカを抱いてから彼の風が吹かなくなっていたことに気づいた。セストを呼びに行っていたのだ。おそらく、リアに頼まれて。
セストはどこからローズの話を聞いていたのだろう。
「セストさんに話したいことがあるんでしょう?聞いてもらいたいと思っているんでしょう?」
「そ、れは……」
戸惑いを隠せなくて、笑顔も作れそうにない。
「あのね、ローズさん。ヴィエント城での生活は夢じゃないってこと、覚えていて下さいね?大切なのは“今”だってこと。今のローズさんの気持ちは夢じゃないから」
夢と現実――セストに求める理想(ユメ)を体現してくれるセストに、境界線がブレているローズの心を見透かすような言葉。
「それに、私もレオにはわがままを言うんです。レオは私のことを甘やかしてくれるから、私はわがままになるんです。ローズさんと同じだから、です」
リアはふふっと笑って、それからセストへと向き直る。
「セストさんも……私がこの前言ったこと、覚えてくれてるよね?」
セストは微かに視線を泳がせて、フッと息を吐いた。
「はい」
「うん。それじゃあ、研究室のお仕事は私がやるから。ちゃんと“今”向き合って」
『ゆ、とー!』
くるくるとローズとセストの間を吹いて、ルカの風は城へと戻っていくリアの後を追いかけていった。