光の花は風に吹かれて
「……4分の3です」

ローズは小さく呟いた。

4分の1ではない。ダミアンが求めたのは、劣性遺伝子を持ち、且つローズの母親の血を引いた――彼女のチャクラに適応できる――子供。

「そうですか。半信半疑でしたが……なるほど、ダミアン様がクラドール集めに異様な執着を見せていたのはそのためですか。ユベール王子がリア様を欲していたのも納得ですね」

今までに聞いたことのないセストの冷たい声。

ユベールが何をしたのかはローズにはわからない。けれど、ダミアンの命令でユベールが動いていたというのなら、きっと……褒められることではないのだろう。

ダミアンは権力を欲していた。そのために、自分の側室から息子や娘まで……すべてを駒として考えていた。

そんなことすら知らずに可愛がられてきたローズが、父親の欲望の裏にある恐ろしい事実に気づけるはずがなかった。

「お父様はお母様のチャクラを――闇人の長の能力を秘めたチャクラをお使いになるつもりでした。純粋な闇属性でなければ、光属性のチャクラを取り除くことも“施術”の工程として取り入れてあったそうです」
「チャクラ移植……バカなことを」

セストの呆れたような声。

愚かな行為――だが、それがルミエール王国という光に照らされた影の世界。

「私がそれを知ったのは夫――パトリス様が私を初めて乱暴に扱ったときでした」

ローズは震える声で、なんとか自分の知っていることを話し始めた。
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