光の花は風に吹かれて
「貴女のお母様は利用価値があったわけですね」

セストの言葉にローズは頷いた。27年前にダミアンがそれを考えていたのかはわからないが、少なくとも3年前にはローズもローズの母親もその“駒”としてカウントされていた。

「後宮に戻ったらお母様はとても痩せ細っていらっしゃって……っ」

ローズは両手で顔を覆った。

ダミアンはローズの母親にも、また子を産ませようとしていた。

チャクラ移植は、元から持っているチャクラがその持ち主に完全に融合する前にしなければならない。“個”として肉体とチャクラが慣れてからでは遅いのだ。

「お父様はお母様のチャクラを少しずつ、お母様と私の産む子供にわけるつもりでいたようです」

赤ん坊にローズの母親のチャクラを移植し、きちんと適合するか、そしてそれが増殖するかを見る。

セントロは常に一定量のチャクラを体内に流している。元々持っているチャクラを起源として作られていくため、植えつけられたチャクラでも適合すれば闇属性の長のチャクラを持てるようになる。

王家の血と闇属性の長の血を併せ持ち、更に純粋な闇属性となれる要素を備えた子供を生み出せるローズ。

彼女の利用価値はそれだけだった。

けれど――
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