光の花は風に吹かれて
大きくため息をついてペンを取る。

机に詰まれた書類が減ることはなく、むしろ増えているくらいのそれを早く処理しなければならない。

研究室のセストの机も同じような状態になっている。そちらの方は、ときどき量が減っているのでディノやイヴァンがやってくれているのだろうと思っているが、このままではいけない。

そう自分に言い聞かせているのだけれど、なかなか進まないのはローズのことがちらつくせい。ふと気づけば手が止まっていて、同じことを繰り返し考えている。

(後悔はしていない?)

セストはフッと自嘲した。

この状態を後悔だと言わないのなら、一体何だというのだ。

1枚しか書類にサインをしないまま、セストはペンを置いた。

とりあえず、今のところ急ぎの仕事はない。

紅茶をもらってこようと立ち上がり、少しふらついて机に手をついた。

指先に触れるのはリアからローズに向き合えと言われて渡された本――付箋の箇所には闇人についての歴史が別の本よりも少し詳しく書いてあった。

それに重ねて置いてあるのは、セストが自分の得た情報と闇人についての情報を照らし合わせて辿り着いた推測――チャクラ移植について書かれた医学理論の本。
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