光の花は風に吹かれて
「セスト」

そんな考えに耽っていると、執務室の扉が開かれてレオが入ってきた。レオはセストの机にたっぷりと積み上げられた書類の束を見て、顔を顰める。

「お前、いい加減にしろ。ローズとのことはお前が決めることだから俺は口出ししない。だが……」

レオの声が低くなる。

「このまま執務に影響が出続けるのなら、黙っていられない」
「っ、申し訳……ありません」

何も言い返せない。

「クラドールの仕事はイヴァンやディノもいるが、俺の補佐はお前しかいない」
「……はい」

弱々しく返事をすれば、レオはため息をついてソファに座った。

それからすぐに扉がノックされ、レオが「入れ」と言うと侍女がティーセットを持って部屋に入り、テーブルに手早く紅茶の用意をして退出した。

「座れ」

顎でレオが向かいのソファを示す。セストはそれに従って座った。

おそらく、執務が進んでいないこともわかっていてレオはやってきたのだ。侍女に紅茶の用意まで頼んで。
< 99 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop