桜の木の下で
「お……、お久しぶりです」


あの頃よりも大人びて、より男らしくなった姿にドキッとしてしまう。


「ここ、覚えてるか?」


「……あたしが忘れる訳ないじゃないですか」


「そりゃそうか」


ハハッと少し照れたように笑う先輩を懐かしく思う。

この仕草が好きだった。


ここは、あたしが告白した場所だ。


入学してからずっと……、ずっと先輩が好きだった。


先輩の卒業式の日、見事玉砕。


あれはあたしの初恋だったと思う。


「俺……、本当はお前が好きだったんだ」


「……っ!!」
< 2 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop