桜の木の下で
笑い声がなくなってシンとなった後、思いがけない事を言われて言葉がなくなった。


なんで、


なんで今さらそんな事、


ザクッザクッ……


雪を踏みしめて、先輩があたしの方へと歩みを進める。


これから起こりそうな予感が怖くなって後ろへと下がったけれど、


「きゃあ!!」


足元を見ていなかったせいで後ろに倒れてしまった。


「お前、何やってんだよ。別に取って食おうとしないって」


声を押し殺すようにして笑う先輩にカァーっと顔が熱くなっていく。


「結婚するんだろう、アイツと」


先輩の目線の先には左薬指にあるダイヤのついた指輪。
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