金色のネコは海を泳ぐ
「ど、どう?」

ドキドキする瞬間。

あまり期待をしていないとは言っても、“もしかしたら”という気持ちもある。だが、時計の秒針が何回転してもジュストに変化は表れない。

「ダメか……やっぱり他の方ほ――」
『なんか……痛い』
「え、えぇ!?」

苦しそうに身体を捩りだしたジュストにルーチェは焦った。何か間違えたのだろうか。やっぱり腐った感じだったリトルノを使ったのはいけなかったのだろうか?

それとも、元々呪文を破るための薬だから何か衝突のようなものが起きて痛みが伴うとか?

いや、しかし今までそんなことはなかったのにどうして――

『ルーチェ、僕、くるし……っ』

ジュストはルーチェの胸にしがみつくように前足をかけた。苦しそうに身体を震えさせて、呻くような声を出す。

「ジュスト!?ジュスト!大丈夫!?」
『う、うぅ……っ』
「ふぇっ――!?」

なぜだろう。

なんだかジュストが大きくなって。重く、なって――
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