金色のネコは海を泳ぐ
外は暗くなって、ちょっとだけ寒くなって、それからまた明るくなって――…

僕、どこに行ったらいいんだろう。また、ひとりぼっちになるのかな?

「あれ、ジュスト?今日はいい子に待ってるんだね」

いろんなことを考えてたら、ユベール兄様の声が上から聴こえた。顔を上げたら、兄様はクスって笑って僕を抱き上げてくれた。また一緒にベンチに座る。

『今日は、ルーチェはいないよ』
「へぇ……こんな短期間でできるようになったんだ?さすが王家の血を引いてるだけあるね」

ユベール兄様はちょっと驚いてたけど、大変だったんだ。海でいっぱい練習したんだよ。ビリビリ痛かったし。

『ねぇ、兄様。僕、兄様と姉様のところに行っ――』
「ダメ」

む……ちょっとくらい考えてくれてもいいのに!

「サラと僕の邪魔しないで。ただでさえ最近あんまりサラに触れないのに――…」

サラっていうのは姉様の名前。ユベール兄様はなんだか眉をぎゅってしてブツブツ言ってる。ユベール兄様も姉様に抱っこしてもらえなかったのかな?
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