金色のネコは海を泳ぐ
「はい、飲んで。今回はちゃんと時間を測ってみるから」

ルーチェがベッドの上に乗ったジュストに瓶を差し出すと、ジュストは首を傾げてルーチェを見上げた。

『ルーチェ、抱っこして』
「……飲んで」

前回、抱っこして飲ませたら大変なことになったのだ。ここは1人で飲んでもらわないと困る。

『飲んだら抱っこしてくれるの?』

いや、どちらかというとルーチェが抱っこされるというか……

「ああ、もう!飲むの、飲まないの?」
『…………飲む』

ジュストはムッとしたような声を出し、大きく口を開けた。

ルーチェがその中に薬を流し込み、ジュストの喉がゴクリと鳴って数分――

身体から光を放ちながらだんだんと大きくなってドサリとベッドに倒れこんだジュストは、両手をついて重そうに身体を起こした。

「痛い……」

人間に戻るときは身体に多少の負担がかかるようだ。

ふぅっと息を吐き出したジュストは前髪を掻きあげてルーチェに視線を合わせた。

琥珀色の瞳に見つめられ、ルーチェはドキッとする。このオトコ、仕草が妙に色っぽいのだ。ルーチェより年下のくせに、「抱っこ」とか甘えるくせに!
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