金色のネコは海を泳ぐ
そんなことをぼんやりと考えていたら、ルーチェは抵抗することを忘れてジュストの頭をそっと撫でていた。ふわふわとした髪の毛がルーチェの手だけでなく、心までをくすぐるような気がする。

「……ルーチェ、僕…………なんだか、いい気持ち、する」
「へ……?」

すると、ジュストが顔を上げてルーチェを琥珀色の瞳に映し、そっと長い指でルーチェの唇に触れた。ルーチェは思わずピクリと肩を震わせる。

「口と口をくっつけるのは、コイビトがすること?」
「え、あ……う、ん…………?」

口と口をくっつける――キスのことを言っているのだろう。

ルーチェが頷くと、ジュストはルーチェの首の後ろに手を回して引き寄せてくる。

「えっ!?ま、待って!違うっ!」

確かにキスは恋人や夫婦がするものだが、ルーチェとジュストは恋人ではない。その前提が間違っているのだ!

「や、ジュスト――っ」

腕を突っ張っているはずなのに力が入っていないのか、ジュストとの距離は縮まるばかり。

ジュストの綺麗な琥珀色が近づいて、息遣いまでが感じ取れて――
< 120 / 268 >

この作品をシェア

pagetop