金色のネコは海を泳ぐ
「こんな薬に頼って、バカだって……思うだろ」
「そ、れは……」

話を聞いたときはそう思ったけれど。

「でも、好きなんでしょ?うまく気持ちが伝わらなくて、薬に頼りたくなるくらい、好きなんでしょ?」

それだけ真剣な想いなのかな、と……惚れ薬を作りながら思い直したことも事実だ。

「あぁ。でもさ、薬はずるいだろ?だからもう1回……やっぱり、ちゃんと言おうかと思って」
「……そうなんだ」

“好き”という言葉は、年齢を重ねるごとに比例するように重さを増していって……伝えるのが難しい。

だから、ジュストの“好き”は……ルーチェを戸惑わせる。

ジュストの“好き”はどれくらいの重さなのだろう――

「ルーチェ」
「うん?」

あぁ、なんだか変だ。テオと話しているのに、どうして?

「俺が好きなのは、ル――」
「ルーチェは僕の!」

どうして、ジュストが――
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