金色のネコは海を泳ぐ
「ちょ、ちょっと!ジュスト、降ろしてよ」

そう言いつつも、不安定な体勢が怖くてルーチェはジュストの首にしがみついた。

すると、ジュストは先ほどテオと対峙していたときに悪かった機嫌もすっかり直ったようでウキウキしたオーラを出しながら階段を上がっていく。

ルーチェ1人を軽々と運ぶ様子はやっぱり“オトコ”で。

それを意識した途端、ルーチェの体温が上がった気がした。

「ルーチェって、小さくて軽いんだね」
「そんなことない!お、降ろして!」

ジュストの背中を叩いてみるが、降ろしてくれる気配はない。

結局そのまま階段を上りきって、ルーチェの部屋に入った。

それなのに、ジュストはルーチェを担いだままだ。

「それに……ルーチェ、ホントに柔らかい」
「へ、きゃ!?ちょ、ちょっと、どこ触って――や、やだっ!」

ジュストはあろうことか抱えていたルーチェのヒップを撫で、更にもう片方の手で膝裏から太ももの感触を確かめるように撫でる。

別にいやらしい手つきではない――そもそもルーチェはいやらしい手つきで触られたこともないので比べられないが――と思う。

ただ、恥ずかしくて、くすぐったくて。なんだかふわふわして、これ以上はダメな気がする。とにかく、何か危険だ!

「っ、ジュ――」
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