金色のネコは海を泳ぐ
「ぎゃっ!?」

ドスッ

内臓が一瞬浮いたような感覚と、そのすぐ後に膝が思いきり床と衝突した。咄嗟に手をついて顔を打つことは免れた。

「イタタタ……」

ルーチェはそのまま冷たい床に蹲った。膝からジンジンと痺れが広がる。

「にゃうー……『ルーチェ、大丈夫?』」

呻くルーチェのもとへネコに戻ったジュストが寄って来て顔を覗き込んだ。

「大丈夫、に……見えるの?」

なぜ、このタイミングでネコに戻ったのだ?いや、助かったのか?

もうわからない!

「今……何時?」
『わかんない』

そういえばジュストは時計も読めないのだ。

ルーチェは床を這ってベッドによじ登り、目覚まし時計を確認する。2時半を少し過ぎたところ――薬の効果は2~3時間といったところか。

『あのね、ルーチェ。ムコってずっとルーチェと一緒にいられる人のことなんだって!だから僕、ムコになるよ』
「あ、そう……」

ルーチェは大きくため息をついて枕に顔を埋めた。
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