金色のネコは海を泳ぐ
時間というのは早いもので、あと2ヶ月ほどでルーチェが研修を始めてから1年が経つ。

研修期間は2年で、その丁度半分の1年目の終わりには中間試験がある。試験と言っても合否はなく、研修の成果報告のようなものだ。

筆記試験はいわゆる模擬試験――自分の実力と勉強不足な分野の確認。

実技試験も同じようなもので、国家試験の合格ラインを満たさなくても特に問題はない。あまりにもそれを下回っている場合にはクラドール協会が補習などもしてくれるのだけれど、今のルーチェなら引っかかることもないだろう。

ルーチェのトラッタメントはまだ8割といったところだろうか。

ジュストとの特訓を終えてからは研修を続けることで少しずつ上達してきている。もう1年、時間があることを考えれば焦ることもない。

そもそも国家試験に1発で合格する者は多くないので、ある程度のんびり構えておく必要もある。

一応、中間試験での成績も自分のレジュメに載せなくてはいけないため、良い成績を取っておくに越したことはない。多くの者は、自分のレジュメに“汚点”を残したくないと思っているようだ。

まぁ、ルーチェは卒業試験の成績にすでに12個のバツがついているので……今更ではあるし、最終的には国家試験の成績が1番大きく就職に影響するため、それ以前の成績が悪くても“成長”として見てくれる人がほとんどだ。

それに、ルーチェはバラルディ診療所を手伝うことになるだろうからレジュメはあまり関係ない。

身内以外の診療所や他国への就職を希望する者、王家専属クラドールを目指す者にとって重要なことなのである。
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