金色のネコは海を泳ぐ
「ルーチェ!一緒に勉強しよう!」

ちょうどルーチェが着替え終わったところにジュストがノートや本を抱えて部屋に入ってきた。

「ぎゃ!ちょっと、ノックしなさいよ!」

危うく下着姿を晒すところだったではないか。

「今日はルーチェと一緒に勉強するから、明日は海に行こう?」

ジュストが海に行きたがる理由は呪文の鍛錬をしたいからだ。海で“ビリビリ”する感覚でチャクラの状態がわかるとかなんとか……

とりあえず、水属性しか持たないルーチェには理解できないことだ。

何度かジュストの呪文――チャクラ――を受けたことがあるが、光属性は刺激が強すぎる。光属性にクラドールが育たない理由を、身を持って知ったのだ。

「見て、ルーチェ。僕、もうすぐグレード5が終わるの」

ルーチェの答えを聞かないまま、ジュストはテーブルに自分のノートを広げた。

「え!?もう5なの!?」

ルーチェは驚いてジュストのノートを覗き込んだ。マーレ王国や周辺諸国の義務教育期間は10年。優秀な子はスキップもありだけれど、大抵はグレード1から10までの教育を受けるのだ。

つまり、本来は1年で1グレードなわけだ。

ジュストが勉強を始めたのは2ヶ月前くらいだったと思うのだが……
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