金色のネコは海を泳ぐ
「ウシロメタイの?」
「……は?」

意外な単語にルーチェは間抜けな声を出してしまった。

「ルーチェ、昨日の夜、テオとボーラで話してたでしょ。だから、ウシロメタイんでしょ?」

確かに、昨夜はテオに薬の調合についての相談を受けてボーラでやりとりしていたけれど……

聞いていたのか?しかも、一体どこでそんな言葉を覚えたのだろう?

そんなルーチェの疑問に答えるように、ジュストはノートの山から何やら雑誌を引っ張り出してバンッとテーブルに置いた。

「げっ」

その表紙を見て、ルーチェは額に手を当てる。

「ほら!ここに、よそよそしいのはウシロメタイって書いてあるでしょ!」

それはブリジッタが愛読している女性向けファッション雑誌だ。リビングに置きっぱなしだったのを読んだのだろう。文字が読めるようになったばかりに、ジュストは手当たり次第に本を読むのだ。

「ねぇ、ルーチェ。ウシロメタイってどういう意味?」

文字が読めても意味まではわからないようで、ニコニコとしながらジュストが問う。

更に……

「あ、あと、ウワキ――」
「わああぁぁぁああ!」

ルーチェはジュストの手から雑誌をひったくった。
< 138 / 268 >

この作品をシェア

pagetop