金色のネコは海を泳ぐ
――それから、中間試験が近づくにつれてルーチェは忙しくなっていった。

やはり良い成績を取りたいのはルーチェだって他の研修生と同じ。

いつも通りの研修に加え、1番出来の悪いトラッタメントの鍛錬の時間を増やし、今までは復習程度だった勉強も新しい問題集を買って毎日取り組むようになった。

薬の調合ももちろん欠かさない。1度にたくさん作って作業回数を減らすようにしているが、最近は風邪が流行っていてストックはなかなか増えないのが残念なところだ。

あれから1度、ジュストの薬の調合もしたが出来上がりも特に変わったようには見えない。それなのに、相変わらず効果は長いようだ。

サッパリ理解できないまま、だが、じっくり考える余裕もないままに日は過ぎていく。

一方、ジュストも順調に勉強を進めているようだし、婿修行にも一層励んでいる。

今まではルーチェにベッタリだったけれど、最近では昼間にジュストとルーチェが一緒に過ごすことが減った。

相変わらず、ルーチェの腕に名前を書くことだけは忘れていないが……

どうも、ルーチェが起きる前に婿修行を始めるジュストが朝一番にする修行(?)が“印を残す”ことらしい。

夜も、ジュストは遅くなるルーチェを待っているようだけれど、結局ルーチェが眠る時間にはネコの姿でベッドに丸まっていてすやすやと寝息を立てている。

こうやって、少しずつジュストはルーチェ離れするのだ。

そう思うと寂しいけれど、それが自然なこと――
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