金色のネコは海を泳ぐ
ジュストは大きな木の扉の前にチョコンと座って持ってきていた薬の瓶を開けた。

ルーチェの机の上に常備してある薬を2つほどハンカチに包んで背負ってきたのだ。ネコの身体で運ぶのは少し大変だったけれど……

「やっぱり変な色……」

最終的に、完全に茶色へと変わってしまった薬。効果は長くなっているようなのだけれど、見た目は最悪だ。

そんな薬を一気に流し込むと、身体中がギシギシと痛くて少し苦しい。

何度経験しても慣れない。

「ふぅ……」

ジュストは目にかかる前髪をかきあげて、立ち上がった。グラートが買ってくれたズボンについた土をパンパンと叩いて落とし、顔を上げる。

なんだか急に小さくなった気がする扉――ジュストが大きくなったせいだ――を何度か軽く叩き、返事を待った。

「はーい」

可愛らしい声が聴こえて、それからパタパタと軽い足音が近づいてくる。

「ユベール様?鍵は開いてま――」

扉がゆっくりと開くと会いたかった人の姿が見えた。面と向かうのは初めてだ。

青くて綺麗な瞳がジュストを見て、疑問の色を浮かべた。金色の綺麗な髪の毛は耳元で1つに結わえてあり、肩から真っ直ぐに伸びている。

ジュストの方が、背が高いことも初めて知った。

「こんにちは。僕、ジュストです。サラ姉様……に会えて嬉しいです」

グラートに教わった通りに挨拶をすると、サラの目が驚きに見開かれた。
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