金色のネコは海を泳ぐ
「うん、わかった。じゃあ抱きしめる。あと、口と口をくっつけるのもダメなんだって。どうして兄様と姉様はダメじゃないの?僕が、抱っこ――じゃなくて、抱きしめるのも変なんだって。兄様と姉様は変なの?」

ジュストは疑問に思っていたことをすべて聞こうと身を乗り出した。

「あとね――」
「ちょっと待って。1つずつにしてくれない?っていうか、なんで君がいるのかを僕は聞きたいよ」

ユベールが呆れたようにため息をつく。

「じゃあ、口と口をくっつけるの」
「キス、ね」

なるほど、口と口をくっつけるのには“キス”という名前があるらしい。

「キス、ダメなの?」
「キスは、好きな人とするんですよ」

ジュストが問うと、今度はサラがふふっと笑って答える。

「僕、ルーチェのこと好きだよ」
「でも……ルーチェさんは、ジュストのこと好きって言ったんですか?」

サラに聞かれて、ジュストは少し考える。

“好き”――と、言われたことはない。

「でも、イジワルするよ?それに、僕とルーチェは恋人なんだ。僕は婿になるんだよ」
「えっと……」

ジュストが首を傾げると、サラは困ったように眉を下げた。ユベールはクスクスと笑っている。
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