金色のネコは海を泳ぐ
「婿にしてくれるって言ったの?あの子が?」

楽しそうに言うユベールにジュストは大きく頷いた。

「ルーチェのお父さんが、ルーチェの婿に来るかって聞いた。僕はアリーチェじゃなくてルーチェがいいって答えたんだ。だから、僕はルーチェの婿になるんだよ」

そう言うと、ユベールは耐え切れなくなったかのように噴き出した。

「ユベール様っ」

サラが咎めるようにユベールの腕を軽く叩く。

「く、ふふっ……そっか。父親が味方なら心強いね。ふ、ふっ、くくっ」

ひとしきり笑って目尻の涙を拭うと、ユベールははぁっと息を整えてジュストを見た。ジュストと同じ、琥珀色の瞳。

「じゃあさ、ルーチェ、だっけ?もうあの子をジュストのものにしちゃえばいいんじゃないの?」
「ユベール様!」

ユベールの言葉に、サラが顔を真っ赤にして叫んだ。

「ルーチェはもう僕のだよ?」
「は……?」
「え!?」

ユベールとサラがこれでもかというほどに目を大きく開いてジュストを見る。

どうしてそんなに驚くのだろう?

「名前も書いてあるよ」

ジュストはポケットの中を探ってペンを取り出して、ケーキの敷き紙に自分の名前を丁寧に書いた。
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